頭や顔が痛い
頭や顔が痛い
緊張型頭痛は頭痛の中で最も頻度が高く、後頭部、こめかみ、ひたいを中心に頭重感や圧迫感、または締め付けられるような痛みがジワジワと発生し、しばらく続きます。眼の奥が痛くなることもあります。
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)は、眼窩奥や眼窩周囲が強烈に痛む顔面痛と、涙や鼻水などの自律神経症状が同時に起こることを特徴とした頭痛の総称です。TACsには、群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、持続性片側頭痛の4つのタイプがあります。これらの頭痛は、それぞれ原因や発作のパターン、治療法が異なります。治療では主に薬物療法と酸素吸入療法が用いられます。薬物療法では、発作を予防する予防薬と発作を止める頓用薬があります。酸素吸入療法では、高濃度の酸素をマスクで吸入することで、発作を早く収める効果が期待されています。
頭痛持ちだった人が頭痛薬を使い過ぎてしまい、その頭痛薬をさらに服用し続けることにより、逆に頭痛が起きてしまう状態を薬物乱用性頭痛といいます。頭痛は月に15日以上あり、3カ月を超えて定期的に鎮痛薬(1カ月に10日以上もしくは15日以上)を服用していることにより起きます。
対応としては、思い切って鎮痛薬を一気に止めてしまい、現在の頭痛が本当は何であるかを適切に診断し、治療に繋げることが重要です。
脳の血管が破れて血液が漏れ出す病気で、脳梗塞、くも膜下出血を含めた3つが脳卒中です。大部分は高血圧が原因で起こり、出血する部位によって症状は異なります。代表的な症状は、話しかけても答えられない意識障害、半身が動かなくなる運動障害、半身にしびれが出たり感覚がなくなる感覚障害のほか、ふらつきやけいれん、視野の一部が欠けたり片方の目がぼやける、頭痛などです。くも膜下出血は、頭蓋骨の内側にある硬膜、くも膜、軟膜の3層の髄膜のうち、くも膜と軟膜の間で出血するもので、突然起きて激しい痛みを伴います。原因の多くは脳動脈瘤の破裂で、半数の人は即死あるいは昏睡状態に陥り、助かっても多くの場合は後遺症が残ります。発症前に突然ズキズキした痛みが何度か襲うことがあり、未破裂動脈瘤が神経を圧迫して物が二重に見えたり、視力や視野に障害が出たりしますので、見逃さないようにしましょう。
脳の内部に細菌が入り込んで細菌と膿が塊を形成した状態です。脳は、皮膚や頭蓋骨に覆われており、頭蓋骨の中に細菌はいません。本来、無菌状態であるはずの脳の中に、細菌が入り込んで炎症が生じた状態が脳膿瘍です。原因としては、蓄膿症や中耳炎、虫歯など、脳の近くにある感染源から波及したと思われるもの、心内膜炎や肺化膿症などが原因となって血流を介して感染したもの、頭部の外傷や手術後に生じたものなどがあります。原因不明のものも3〜4割くらいあるとされています。脳膿瘍の主な症状は頭痛、高熱、吐き気、痙攣、意識障害です。その他、脳膿瘍のできた部位によっては片方の手足の麻痺や言語障害などを伴います。脳膿瘍の治療は、抗生物質を中心とした内科的治療と膿瘍の排除を目的とした外科治療が行われます。
髄膜炎とは、脳脊髄液の中に細菌やウイルスが混入して炎症を起こす感染症の一種です。また、脳炎とは、細菌やウイルスが脳に感染して炎症を起こすことです。原因を突き止めることは困難な場合も少なくないですが、体内に入り込んだ微生物が血流を介して、もしくは近隣の臓器から直接頭蓋内に入り込んで脳脊髄液の中で増殖します。すると体が反応して強い炎症が起こり、頭蓋内の圧が高まります。髄膜炎の主な症状は頭痛、発熱、けいれん、意識障害です。ほぼ必ずみられるのが頭痛と発熱です。激しい頭痛、特に振ったり揺さぶったりすると痛みが増します。また、高熱も伴います。髄膜炎になると、周囲が眩しく感じたり、音が響くように感じられたりすることもあります。治療は感染した微生物に対して効果のある抗生物質や抗ウイルス剤を使用します。
特殊な頭痛として、脳脊髄液減少症と呼ばれるものがあります。脳脊髄液が慢性的に減少した状態となって頭痛などが生じます。従来、むち打ち症とされていたもののごく一部に脳脊髄液減少症があると考えられます。原因として、脳脊髄液が硬膜の外に漏れ出す病態(脳脊髄液漏出症)と、脳脊髄液の生産量不足(背景として脱水など)が考えられています。主な症状は頭痛ですが、通常の頭痛とは異なる特徴があります。頭痛は頭蓋内圧の変動(低下)が引き金となって起こりますので、寝た状態から急に起き上がった時などに悪化します(起立性頭痛)。立っていると頭蓋内圧が維持できずに頭痛が生じるので、寝た状態を好むようになります。頭痛のほかに、頚部痛、めまい、吐き気、全身倦怠感、自律神経症状、耳鳴り、うつ、睡眠障害、内分泌異常、免疫異常などを伴うこともあるとされています。
動脈は内膜・中膜・内膜の3層構造からなっていますが、何らかの原因で内膜に亀裂が入りそこから血流が侵入することで発症します。症状は頭痛、頸部痛のみの場合もありますが、脳梗塞やくも膜下出血となることもあります。原因は突発性(原因不明)であることも多いのですが、線維筋性異形成、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群などの血管の膜が弱くなる病気が関わっている可能性があります。
三叉神経痛は、左右どちらか一方の顔面に痛みの出る病気です。顔の感覚(痛覚、触覚、冷熱感)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この三叉神経に痛みが起こります。三叉神経痛の痛みにはかなり特徴があります。痛みは非常に強いものですが、突発的な痛みです。一瞬の走るような痛みで、長く続いても数十秒程度です。三叉神経痛での痛みは、洗顔、お化粧、髭剃りなど、いろいろな動作で誘発されます。原因としては、頭蓋内で三叉神経に太い動脈が接触して三叉神経を圧迫することにあります。老化や動脈硬化などの影響で、徐々に接するようになって圧迫します。血管の物理的な圧迫による症状なので、最も効果的な治療は外科的手術による微小血管神経減圧術という方法です。また投薬治療としてはカルバマゼピンなどの抗痙攣薬を用いた痛みを緩和させる治療も可能です。
TOP