頭をぶつけた
頭をぶつけた
脳震盪は衝撃によって脳が揺さぶられることにより生じる脳の機能障害を指します。頭部打撲直後から短時間の意識消失があれば、脳震盪が疑われます。その他、画像検査では頭蓋内に異常がなくても記憶障害やふらふらしたり、ぼーっとしている、頭痛やめまい、耳鳴りなどがしばらく続いた場合にも脳震盪の疑いがあります。脳震盪は通常は短時間で消失しますが、数週間におよぶ場合もあります。特に小さいお子さんや若年者では長く続くので注意が必要です。脳震盪後、回復するまでに頭部打撲を繰り返すとよくないので、検査で異常なくてもしばらくは安静にしなければなりません。スポーツなどの場合は、各競技種目ごとの特性に合わせた休止期間の判断が必要です。
頭蓋骨骨折は大きく分けて線状骨折と陥没骨折に分けられます。線状骨折は、頭蓋骨にまっすぐ伸びた骨折線が特徴です。骨が大きくずれることは稀で、いわゆるヒビが入った状態です。陥没骨折は、骨のやや広い部分に強い外圧がかかった時に生じます。多く見かけるのは前側頭部の辺りです。軽く陥没しただけであれば問題ないのですが、このパターンの骨折は皮膚にも強い外力が加わっていることが多いので、皮膚は挫滅して開放骨折になることもあります。
脳の表面に出血が発生したために頭蓋骨の内側にあって脳を覆っている硬膜との間に血液が溜まり、短時間のうちにゼリー状に固まった状態を「急性硬膜下血腫」といいます。ほとんどが大脳の表面に発生しますが、左右の大脳半球の間にある小脳表面に発生することもあります。血腫による圧迫と脳組織の損傷のため、頭蓋骨の内側の圧力が高まり、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが現れます。急性硬膜下血腫のほとんどは、頭部外傷によって発生します。頭部外傷により脳が損傷され、血管が破綻して出血し、短時間で硬膜下に溜まるというものです。脳挫傷、つまり脳組織の挫滅があり、そこからの出血が脳の表面と硬膜の間に溜まり硬膜下血腫になります。
硬膜の血管が損傷され、頭蓋骨と硬膜の間に出血した状態です。10〜30代の若年者に多く発生します。出血源は硬膜表面に浮き出たように走っている動脈(中硬膜動脈)または静脈(静脈洞)です。血腫により脳が圧迫されて症状が現れます。頭蓋骨の内側の圧力が高まり、最初は激しい頭痛、嘔吐が現れます。血腫が増大すれば意識障害をきたし、さらに脳ヘルニアの状態にまで進行すると深部にある脳幹が侵され、呼吸障害などが起きて最終的には死に至ります。血腫の増大による症状の進行は受傷直後のこともありますが、数時間経ってから意識がなくなることも多く注意が必要です。急性硬膜外血腫の主な原因は、転落・転倒、交通外傷であり、多くは頭蓋骨骨折を伴います。
脳挫傷は、頭部への外傷によって生じる脳の損傷です。通常、脳が突然の衝撃や振動によって急激に動かされることで発生します。交通事故、スポーツの負傷、転倒など、様々な状況で脳挫傷が発生する可能性があります。症状は軽度から重度まで様々です。軽度の場合、頭痛、吐き気、めまい、または一時的な意識障害などがみられることがあります。しかし、重度の脳挫傷では、意識の喪失が長時間続く場合や、患者が目を覚まさない場合があります。治療は症状の程度に応じて異なりますが、一般的には安静を保ち、適切な経過観察が必要です。軽度の脳挫傷では症状が自然に回復する場合がありますが、重度の場合は入院治療や手術が必要な場合もあります。また、脳挫傷のリハビリテーションも非常に重要です。リハビリテーションプログラムには、身体機能の回復や認知機能の改善を目指す様々な治療法が含まれます。
特に高齢者では、受傷後に最初は問題なくても日数(約1〜3カ月)が経ってから頭痛、手足の筋力低下、歩行障害、認知症と間違えるような症状などが出現したりすることがあります。その際には慢性硬膜下血腫の可能性が高く、血腫の量や症状によって手術が必要となることがあります(穿頭血腫洗浄術)。
高齢で、軽微な頭部外傷を含む頭部外傷の既往があり、特にお酒飲みの方で1〜数カ月経過し上記のような症状がある場合は、一度受診し検査をすることをお勧めします。しかし、時々高齢ではない年代にもきたすこともありますので、上記のような症状がある場合はお気軽にご相談ください。
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